展覧会『光の中で 視覚障碍者が撮影した写真作品展』

視覚障害のある方達に写真を教え始め、6年近く経ち、ガーディアン・ガーデンと共に夏に開催している視覚障碍者と若手写真家によるワークショップ「写真を言葉にして伝える」も今年で3回目を迎えます。
今年度はガーディアン・ガーデンの協力を得て、夏に展覧会とワークショップの両方を行うこととなりました。
展覧会は四つの大きなパートで構成されています。
一つ目は見ることが前提とされている写真から視覚要素を排除し、凹凸の立体写真を使い、触覚と言葉のみでイメージするといった新しい「写真」の形を提示した作品です。 二つ目には私たち目が見える人は目から入ってくる情報で風景を写真に撮りますが、視覚障碍者の方は見えなくて、且つ遠くて触ることもできない場合、主に音を通じて風景を撮ります。そういった風景はランドスケープと言わず、サウンドスケープとか、音の風景、音景といわれるようです。そのサウンドスケープを少しでも感じてもらえるような映像作品を展示させていただきます。
三つ目は私のところには中途失明の視覚障碍者の方から写真のアルバムを整理したいという話がたまにあります。幾つかの写真を選び、凹凸写真を作るのですが、アルバムの中でどの写真を選べばよいのかをいつも悩まされます。そこで今回、ある視覚障碍者の方の許可を得て、そのアルバムの中から5点の写真をみなさんにも選んでいただき、その選んでいただいた写真で票が多いものから順に凹凸の立体写真にしようと考えています。
さらに、中途失明の方の多くは昔のイメージを元に写真を撮る事も多いのですが、実際の景色は以前と変わっていることも少なくありません。今回協力いただいた視覚障碍者の方は吉祥寺で生まれ育ったので、アルバムの中にある昔のイメージを元に現在の吉祥寺を撮影してもらいました。鑑賞者は凹凸に写真を選ぶとともに撮影者である視覚障碍者の方の頭にあるイメージを共有する体験してもらいます。
最後は何度も写真教室に参加されている視覚障碍者の方の写真を約90点展示します。撮影者は「自分で撮った写真を自分では見ることができない、誰かに見てもらわなければならないという部分には埋めることのできない暗闇があり、まるで自分の裸体をさらすような怖さと恥ずかしさがあります。」と話します。アルバムの時と同じように、それらの写真を鑑賞する皆さんで選び、なぜそれを選んだのかなど、アンケートの形式をとり、撮影者である視覚障碍者の方に伝え、その「埋めることのできない暗闇」を少しでも埋めていただくという内容です。
タイトル:
『光の中で 視覚障碍者が撮影した写真作品展』
主催:
日本視覚障碍者芸術文化協会
後援:
立川基金
企画・構成:
尾崎大輔(写真家)
期間:
2015年8月19日(水)〜25日(火) 11:00〜19:00
(8月22日(土)はワークショップのため、閉館します。)
会場:
ガーディアン・ガーデン
東京都中央区銀座7-3-5
ヒューリック銀座7丁目ビル B1F
tel 03-5568-8818 fax 03-5568-0512

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